日本で開発されたQRコード。電子マネーでの決済方法のひとつとして利用可能ですが、あまり浸透していません。しかし、近年中国でのQRコード決済の浸透により、再度その機能が注目されるようになりました。中国人観光客の決済用に、日本国内にもアリババのAlipay(アリペイ)や中国IT企業テンセント社のWeChatPay(ウィーチャットペイ)によるQRコード決済が導入されたり、国内のモバイルウォレット決済各社がQRコード決済を導入したりと、新たな動きが広まっています。

日本でのQRコード決済事情

日本でQRコードが開発されたのは1994年。撮影するだけでデータを取得できるという利便性の高さで、携帯電話の普及に合わせて広く一般市場で利用されるようになりました。しかしながら、決済方式としては利用方法やセキュリティの高さからNFC技術をベースにしたFeliCaの近距離無線技術を用いた方式が主流になっています。

一方、中国では導入と維持コストが低額なQRコード決済が普及。そして巨大な市場を抑えたQRコード決済は、その有用性を再度見直され、日本国内にてさまざまなサービスを開始しています。

LINEpay

LINE payはプリペイド方式で現金をチャージすることで、さまざまなサービスを受けることが可能です。最大の特徴は、相手の銀行口座を知らなくても個人間の送金が出来るという点。犯罪等を防止する目的としてLINEでの個人確認は必要ですが、金銭をやり取りするユーザー間ではIDを知るのみでの取引が可能となっています。
また、QRコード決済機能が付与されており、セブンイレブン、サークルKサンクスを始めコンビニエンスストアの他にも、家電量販店、ドラッグストア、カラオケ店など対応店舗はは拡大中。

楽天pay

楽天payでは既存のユーザーやエコシステムを活用し、利用者には楽天ポイントを賦与するなどのメリットを打ち出しています。また、決済に楽天カードを用いることで楽天ペイのボーナスポイント0.5%とクレジットカードの利用ポイント1.0%を2重に賦与。保有している楽天ポイントを支払いに利用出来るなど、積極的なアプローチにでユーザーの誘導をしています。

Origami Pay

Origami Payは中国電子決済の50%のシェアを持つと言うAlipayとの提携をテコにして実店舗の加盟店数を大幅に増やしています。2016年の提携以来、中国人観光客のインバウンド需要を狙う店舗を中心に加盟店は20,000店に達しています。

これらのQRコード決済は、顧客情報と購買行動のひも付が容易に行えます。ここで集積された上方はマーケティングのためビッグデータとしての活用が可能で、CRM(顧客関係管理)のための有効なツールとしても期待されているようです。

導入コストとオペレーションコストの削減

QRコード決済には、以下の二つの形式があります。
・顧客のスマートフォンなどにQRコードを表示し、店舗側の端末で読み取る方式
・店舗に提示されているQRコードを顧客のスマートフォンなどで読み取る方式

とくに後者では店舗側には端末が不要となるため導入コストの大幅な低減が可能。また、消費者側だけでも決済作業が完結できるため、顧客の支払作業中に店員が片付けや商品の梱包作業を行えるなど、オペレーションの短縮、簡便化にもつながるのです。

労働人口の減少が問題視されている中でコストと労働力削減の両者にメリットのある方法としても、その価値が認められつつあります。

整いつつあるQRコードの環境

QRコード決済が広く浸透した中国では、QRコードのすり替えによる詐欺が問題になっており、セキュリティ面での課題が指摘されています。利便性を失うことなくセキュリティの向上を図るため、カード決済の安全と普及促進の団体であるEMVCoがQRコード決済の仕様を発表しました。

本来はクレジットカードやICカードの基準を定めている組織ですが、急速に広まるQRコード決済需要への対応を迫られた形となりました。新たに発表された仕様は、セキュリティを保ちやすい消費者の端末に表示したコードを店舗側の端末で読み取る方式(Consumer-Presented Mode)に関するもので、将来的にはより簡易なシステムである店舗側の表示したコードを顧客の端末で読み取る方式(Merchant-Presented Mode)にも言及するものと期待されています。

モバイル端末側の対応も進んでおり、AppleのiOS11やGoogleのChromeではQRコード読み取りにネイティブで対応しており、QRコード読み取り専用アプリのインストールも不要。規格や使用できる端末などの環境もますます拡充しています。

QRコード決済のこれから

中国での採用の広まりから再度注目を浴びることとなったQRコード決済。中国人旅行客による需要の広まりに合わせるように、グローバルでの環境も整ってきました。日本を始め欧米などの先進国でもモバイル決済各社が注目し、独自のQRコード決済サービスを立ち上げ他国への進出を始めています。

ただ、セキュリティ面が強固で日本独自の決済文化として定着したFeliCaと比べると、QRコード決済はまだまだ盤石なセキュリティ環境とは言えません。決済システムや導入後のサポート体制など、今後日本国内で発展・共生していくうえでの対策が急がれます。