「最近、ECサイトの売上が伸びなくなった…」
「なかなか独自性を打ち出すことが難しい…」

ECサイトを運営する中で、このような悩みを抱えているという方も多いはず。ECサイトが普及して久しい今日、その設計や集客手段にはいくつかのセオリーが存在し、多くのECサイトはそのセオリーに則っています。そのため、似たようなECサイトが数多く運営されているというのが実情…。

しかし、最近ではVRやAIといった最新のテクノロジーを導入して独自性を打ち出すサイトが増えています。そこで、本コラムでは、ECサイトへの導入が進みはじめている最新テクノロジーを4つ紹介します。

ECサイトで使われ始めた最新テクノロジー4選

今回は、実際にECサイトで活用され始めているテクノロジーとして、次の4つをご紹介します。

VR/AR(Virtual Reality/Augmented Reality)

ゲームや映画などエンターテイメントの分野での活用が目立つ、VR(Virtual Reality/仮想現実)AR(Augmented Reality/拡張現実)。これらのテクノロジーを活用して、自宅にいながらにして実店舗と同じようなショッピングを楽しめるサービスも登場しています。

たとえば、世界最大規模のECモールを運営するeBayは、オーストラリア最大手の百貨店チェーンであるMyerと共同で、世界初のVR百貨店をオーストラリアでローンチしました。このサービスでは、スマートフォンアプリとヘッドマウントディスプレイを組み合わせて利用することで、ユーザーは商品を見つめるだけで詳細を表示したりカートに入れたりすることが可能です。

■VR百貨店のイメージ(eBayのサービス紹介動画より)

そのほかにも、より詳しく、より視覚的に商品について知ってもらうための方法としてVRやARを活用するECサイトも登場しています。

これまで、ECサイトでは、商品の全体像を、商品ページに掲載されている写真やテキストを通して判断するしかありませんでした。そのため、実際に商品が届いた後に、「サイズが大きすぎる/小さすぎる」「こんな色味だと思わなかった」といったことになってしまうこともしばしば…。

しかし、VRやARを活用すれば、ユーザーはまるでお店で商品を手に取っているかのように状態を確認することも可能です。たとえば、RoomCo ARは、スマートフォンのカメラに家具の設置を考えている空間を映すことで、実際に販売されている家具を仮想的に配置することができるARアプリ。このようなサービスがさらに増加すれば、商品選びにおいてサイズ感や質感が重要な要素となる家具や大物家電なども、ECサイトから気軽に購入できるようになるでしょう。

■RoomCo ARのイメージ(サービス紹介動画より)

AI(Artificial Intelligence)

ディープラーニングの登場により急速に進化を遂げているAI(Artificial Intelligence/人工知能)は、ECサイトにおけるUX(User Experience/顧客体験)の質を高めるのに効果的なテクノロジーです。

購買履歴や会員情報などにもとづいてユーザーに商品をレコメンドする仕組みは、既にほとんどのECサイトで取り入れられています。そして、AIの進化によって、各ユーザーに最適な商品をこれまで以上に高い精度でレコメンドできるサービスも登場しました。例えば、AIを画像検索機能に利用することで、ユーザーが写真を撮影して送信すると、AIがその画像を分析して、イメージの近い商品を表示してくれるという仕組みを取り入れたファッション系ECサイトが注目を集めています。

AIによるレコメンドの精度は、それまでに蓄積されている情報量に影響を受けます。そのため、特に、一定以上のユーザー数・売上のあるECサイトで、顧客単価の増加やリピート購入といった効果を期待できるでしょう。

そして、ECサイトにAIを導入するプラットフォームの1つとして人気を集めているのがFlipdeskです。Flipdeskは、ECサイトにタグを埋め込むことでユーザーの行動を分析。そして、ユーザーの行動に合わせてキャンペーンの告知やクーポン発行、チャットサービスといったオンライン接客を行います。

全国に店舗を持つメガネスーパーや、アパレルセレクトショップのBEAMSなどが導入しており、売上アップなどの成果につながっているそうです。

■Flipdesk公式サイトより

チャットボット

AIにチャットサービスを組み合わせたチャットボットも、ここ数年、ECサイトに導入されるケースが目立って増加しているテクノロジーです。

これまでのECサイトでは、基本的にはユーザーが購入してくれるのをただ待つしかありませんでした。しかし、チャットボットの登場で、ユーザーに対して、チャットを通じて適切なタイミングでECサイト側からアプローチできるようになりました。まるで店舗にいるように気軽に会話ができるので、おすすめ商品の提案や問い合わせを受けることも可能です。

国内大手のアパレルメーカーファーストリテイリングの運営するブランドであるユニクロも、チャットボット機能UNIQLO IQをスマートフォンアプリに組み込んでいます。

カテゴリ別のおすすめや売上ランキング上位の商品を表示させることができ、ユーザーの問い合わせに対して即座に返答するので、「どんな服を着たら良いのかわからない」と迷っている方にも利用しやすいようになっています。

■UNIQLO IQの利用画面

チャットボットをユーザーサポートで活用することで、電話やメールの問い合わせ対応にかかわる担当者の負担を大きく軽減し、業務を効率化できる可能性もあります。最近では、有人/無人対応を容易に切り替えられる製品も登場しており、問い合わせ内容やお客様の状況によって柔軟に対応できるようになっています。

また、チャットボットはアイデア次第でサイトの独自性を打ち出せることも特徴です。例えば大手事務用品ECサイトでは、愛称の付いたキャラクターをチャットボットとして導入したところ、ロゴマークのみ表示していた場合と比べて利用件数が跳ね上がり、注目を集めました。

RPA(Robotic Process Automation)

ECサイトのバックヤード業務で注目されているテクノロジーもあります。

RPA(Robotic Process Automation)は、従来は人が行っていた簡単な作業を、ロボットにより自動化するソフトウエアプログラム。ECの分野においては、大規模なサイトや複数のサイトの運営で問題となりがちな、店舗の管理や問い合わせに対応するコストの削減が期待できます。

たとえば、女性下着販売などで著名なトリンプ・インターナショナル・ジャパンでは、外部のECサイトからの受発注処理をRPAによって自動化。業務の大幅な効率化によって、人的リソースをほかの業務に充てられるようになったことはもちろん、商品発送までのリードタイムの短縮によって、顧客満足度の向上にもつながったそうです。

そのほか、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングでは、ユニリーバ製品を販売している外部ECサイトの在庫や価格といった情報をリアルタイムに収集するためにRPAを活用。収集した情報を自社で運営している比較サイトで公開し、公式サイトへの訪問者を外部のECサイトへと誘導しています。このような、リアルタイム性を求められるルーティンワークでは、特にRPAが役立つと言えるでしょう。

■ユニリーバ製品の比較サイト

RPAは専用のシステムを開発するよりも廉価でスピーディに導入できるため、日本国内でいわゆる「2030年問題」として深刻となっている、高齢化・人口減による労働力不足を効率的に補うことのできるツールとしても期待されています。

最新テクノロジーについての情報にアンテナを張ろう!

今回ご紹介したように、すでにECサイトの分野においてもVRやAR、AIといったテクノロジーの活用が進み始めています。そして、今後は、今回取り上げたテクノロジーのさらなる進歩はもちろん、新たなテクノロジーが活用される可能性もあります。

数多のECサイトに埋もれることなく売上を増やしていくには、最新テクノロジーについての情報にアンテナを張り、独自性を打ち出すアイデアを見つけることが必要ではないでしょうか?