小売業や飲食業を中心にQRコード決済やバーコード決済に対応する店舗が増えるなど、キャッシュレス決済が消費者の生活に浸透しつつあります。そして、2019年10月からスタートするキャッシュレス消費者還元事業を機に、その市場はさらに成長すると見られています。

このような状況のなか、小売業や飲食業に限らず様々な分野でキャッシュレス決済を導入する事業者が増えています。

そこで、本コラムでは、国内におけるキャッシュレス決済のユニークな導入事例を紹介します。

キャッシュレス対応で富士山入山料の支払い率向上を目指す

日本最高峰・富士山には、毎年、国内外から多くの登山客や観光客が訪れ、賑わいを見せています。一方で、自然環境には大きな負担がかかっており、ゴミ問題をはじめ登山道やトイレの整備、登山者の安全対策などが課題となっていました。

これらの課題への対策として、周辺自治体は5合目から先に立ち入る登山者を対象に、入山料を徴収することを決定。入山料は「富士山保全協力金」という名称で、1人につき1,000円に設定されました。

しかし、この入山料はあくまでも任意であり、本格的な運用が始まった2014年から2018年までの支払い率は、山梨県側で40〜60%程度にとどまっていました。

そこで、山梨県は、登山者が入山料を支払いやすい環境を整えるべく、吉田口登山道の支払い窓口にキャッシュレス決済システム「Airレジ」、「Airペイ」、「AirペイQR」を導入。その結果、2019年7月以降、クレジットカードに加え、電子マネーやQRコード/バーコードによる決済にも対応できるようになりました。

そして、キャッシュレス決済に馴染みのある若者や訪日外国人客による支払いが増えた一方で、現金での支払いが減ったことで窓口終了後のレジ締め作業をはじめとする入山料徴収者の事務負担が軽減するなどの効果が見られています。

なお、富士山ではこのほかにも、au PAYやWeChatPay、Alipayを導入する山小屋が登場するなど、現金を持たずに登山できる環境が整いつつあります。

キャッシュレスで観戦可能な野球スタジアムが続々登場

野球観戦では、グッズや飲食料品の購入など、スタジアム入場後も現金が必要となる場面が少なくありません。特に観戦中の座席では、飲み物を購入するために隣席の観客を横切って販売員と現金を手渡ししなければならないケースもあり、やり取りを面倒に感じた経験のある方もいらっしゃるのでは?

こうした状況のなか、東北楽天イーグルスの本拠地である楽天生命パーク宮城「完全キャッシュレス」を打ち出し、楽天ペイや楽天Edyといった自社サービスのほか各種クレジットカードが使える環境を整備。加えて、スタジアム内での現金決済を原則として取りやめました。

現金決済取りやめの理由について、スタジアム側は「来場される方にキャッシュレス決済の便利さ、お得さを体感してもらうため」としています。この決定について、観客からは賛否両論あるものの、導入後に大きな混乱は起きていないようです。

一方、完全キャッシュレス化の効果としては、売店の待ち時間の緩和などが見込まれています。また、楽天側には、販売員の業務効率化のほか、来場する観客の購買データ取得といったメリットがあると見られています。

このほか、完全キャッシュレス化には至っていないものの、ヤフオクドームではPayPayが、ZOZOマリンスタジアムではJ-Coin Payが利用可能になるなど、今後もスタジアムのキャッシュレス化は広がっていきそうです。

教材購入のキャッシュレス化で教員の負担が軽減

レジャーだけではなく、教育業界にもキャッシュレス化の波が到達し始めています。

教育業界では、学校において教職員が抱える業務負担の大きさが課題となっています。たとえば、小学校では生徒が授業に必要な教材を購入する際、教職員が生徒に紙の申込袋を渡し、その中に現金を入れてもらう形で決済する方法を採用しているところが少なくありません。そしてこの方法では、現金の回収・管理や注文情報の集約といった手間が教職員の業務を圧迫していました。

そこで、小学校用の教材を開発・出版する光文書院では、SBペイメントサービスのオンライン決済サービスを採用し、「Web申込袋」の提供を開始。教材をオンラインで注文・購入できる仕組みを構築しました。

Web申込袋を導入した場合、教職員の作業は注文・決済用ページのURLが記載されたチラシを児童に配布するだけで完了します。チラシを児童から受け取った保護者がオンラインで教材の注文・決済が可能で、その注文情報は直接、販売店に送信されます。

そのため、このサービスには、教職員の業務負担だけでなく、販売店への誤発注の未然防止や、現金を持ち運ぶ児童のリスクの軽減といった効果が期待されています。また、教材以外にも、修学旅行や運動会といった校内イベントの写真をオンラインで注文・決済可能なサービスも登場し始めています。

現在、教育業界では文部科学省を中心として学校内の業務効率化による「教職員の働き方改革」が進められており、その一環として「Web申込袋」のような教材購入のキャッシュレス化を導入する学校も増えることが予想されます。

国内で広がりを見せるキャッシュレス決済

上述したような事例のほか、自治体レベルでキャッシュレス対応への実証実験に取り組んでいるところもあります。

たとえば、神戸市では公共施設にキャッシュレス決済を試験導入するほか、民間事業者のキャッシュレス決済の試験導入・運用をサポートするプロジェクトが進められています。プロジェクトの対象として選定された民間事業者については、実験後にその有効性や効果が検証される予定です。

実際に、神戸市の施設である王子動物園や須磨水族園には楽天ペイ、そのほか民間4施設にはPayPay、メルペイ、LINE Pay、楽天ペイの導入が決定しています。

このように、キャッシュレス決済はますます広がりを見せており、生活に欠かせないインフラの一部になりつつあります。こうした状況化で、キャッシュレス決済システムには、ほかのインフラ同様、トラブルなく安定して運用できることが求められています。

そして、株式会社Samuraiでは、事業者の方が安心して、しかも気軽に導入できるキャッシュレス決済システムとして「Samurai Order」を用意しています。各種QRコード決済への対応はもちろん、セキュリティへの対策も万全ですので、キャッシュレス決済システムの導入を検討している方は、ぜひ一度お問い合わせください。