国内においても、改めて注目を集めているキャッシュレス決済。最近では、PayPayやLINE Payに代表されるQRコード決済を中心に、新たなサービスが増えつつあります。

こうした中で、実はキャッシュレス利用者へのポイント還元などを盛り込んだ事業がスタートすることをご存知でしょうか?

本コラムでは、2019年10月1日からスタートする「キャッシュレス・消費者還元事業」について解説します。

諸外国と比べてまだまだ低水準な国内のキャッシュレス化

「海外と比べて、日本のキャッシュレス化は遅れている」

このような話を耳にしたことがあるという方も多いことでしょう。実際、様々な調査を見ると、諸外国と比べて、日本のキャッシュレス比率は低水準であることがわかります。

たとえば、経済産業省が2018年に発表した資料(※)を見ると、イギリスやオーストラリアやアメリカといった欧米諸国のキャッシュレス比率が50%前後になっているほか、アジア圏でも韓国が89.1%に達しているなど、かなりキャッシュレス化が進んでいる国々が出てきていることがわかります。

一方で、同資料において、日本のキャッシュレス比率は18.4%とされています。このような状況を踏まえると、日本のキャッシュレス比率が低水準であることがうかがえます。

こうしたなか、経済産業省は「未来投資戦略2017」を閣議決定。2027年までに、国内におけるキャッシュレス比率を40%程度まで引き上げるという目標を掲げました。

そして、目標達成に向けた具体的な事業として2019年10月1日にスタートするのが、「キャッシュレス・消費者還元事業」です。

※1:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」

「キャッシュレス・消費者還元事業」が国内の本格的なキャッシュレス化を実現する?!

2019年10月1日、現行8%の消費税率は、10%へと引き上げられます。

そして、消費税率の引き上げによって懸念されるのが、国内消費の低迷です。そのため、消費税率引き上げによる消費低迷というリスクを低減するために、食品などの一部商品については消費税率を8%に据え置く軽減税率が適用されます。

加えて、増税後の消費促進のために実施されるのが、「キャッシュレス・消費者還元事業」。経済産業省が採択をした補助金をもとに、同省の監督のもとで実施をされる事業です。次項では、同事業の概要や、消費者/事業者双方にとってのメリットを解説していきます。

「キャッシュレス・消費者還元事業」の概要

※本項で解説する内容は、同省のウェブサイト(https://cashless.go.jp/franchise/index.html)及び「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要⦅4月12日(金)時点⦆」(https://cashless.go.jp/assets/doc/gaiyou_cashless_kessai.pdf)に記載されている内容のもとづいています。最新の情報は、同省のウェブサイトでご確認ください。

●キャッシュレスに該当する決済手段

同事業のウェブサイトでは、キャッシュレスに該当する決済手段を次のように定義しています。

「クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど一般的な購買に繰り返し利用できる電子的決済手段」

●同事業の実施期間

同事業の実施期間は、2019年10月〜2020年6月までに9ヶ月間です。

そして、同事業は、次のように、消費者と事業者の双方にとってメリットのあるものになっています。

「キャッシュレス・消費者還元事業」が消費者/事業者にもたらすメリット

●消費者にとってのメリット

本事業の開始後、キャッシュレス決済を利用した消費者は、購入額に対して2%あるいは5%がポイント還元されます。

・フランチャイズ店舗で購入した場合:2%
・一般の中小・小規模事業者の店舗で購入した場合:5%

つまり、同事業の実施期間中は、該当する店舗・サービスは限られますものの、キャッシュレス決済を利用したほうが出費を抑えられるということになります。したがって、同事業の開始によって、キャッシュレス決済の利用が急速に拡大し、国内においても本格的にキャッシュレス化の時代に可能性もあるのです。

●事業者にとってのメリット

実施期間中、同事業の登録決済事業者の端末やサービスを利用する場合、店舗・サービスの提供事業者は、キャッシュレス決済で必要となる端末の調達や設置を無料で行えるようになります。さらに、決済手数料も実質2.17%以下になるとのこと。

そのため、実施期間中であれば、低コストで、キャッシュレス決済を導入・運用することが可能です。

※ただし、対象となる店舗や還元率、決済手数料などには条件があります。

訪日旅行者増+国内利用拡大が目前!キャッシュレス決済導入を本気で考えるべき

前述したように、「キャッシュレス・消費者還元事業」の開始によって、国内においてもキャッシュレス化が本格化すると予想されます。そんな今、ジャンルを問わず、店舗・サービスの売上向上を図るうえでは、いち早くキャッシュレス決済に対応することが必要と言えるのではないでしょうか?

さらに、2020年の東京オリンピック開催も念頭に置く必要があります。東京オリンピックの開催期間中は、首都圏を中心に非常に多くの外国人旅行者が訪日すると予想されます。そして、前述した通り、先進国を中心に、すでにキャッシュレス決済の比率が過半数となっている国も少なくありません。さらに、自国では現金決済がほとんどという人でも、セキュリティなどの観点から、国外旅行ではキャッシュレス決済を利用するというケースも珍しくありません。

こうした事情を踏まえると、訪日外国人旅行者の取り込みという意味でも、端末調達などのコストを抑制できる同事業の実施期間に、キャッシュレス決済を導入するというのも一考の価値があると言えるでしょう。