ブロックチェーンは既存の中央集権的なシステムと比較して、分散型による処理スピードの向上、データ改ざん耐性が高いうえにその技術を応用することも可能。現状では、金融業界以外への導入やブロックチェーンテクノロジーをベースとしたさまざまな活用方が見出されています。ここではブロックチェーン=仮想通貨(ビットコイン)以外の用途事例をご紹介します。

ブロックチェーンの特徴をおさらい

ブロックチェーンは、仮想通貨・ビットコインの取引システムとして考案された分散型台帳技術です。複数の取引内容(トランザクション)をまとめてブロックとし、取引履歴の整合性を保つよう、チェーンの様につなげて管理します。信頼性の高さや低コストで強靭なシステムを構築出来る利便性の高さから、金融サービス以外のさまざまな分野へも応用が期待されています。

特徴①「P2P」による低コストでの維持

銀行や取引所の様な中央管理者が存在しない分散型のシステムのため、従来であれば台帳情報の管理は金融機関系の第三者の仲介が必要でしたが、ブロックチェーンでは仲介者を立てずに取引が行えます。P2Pネットワークモデルを採用しているので特定のサーバーを用いず、参加者全員で取引データの保有、監視を行う為、サーバーの導入、メンテナンス費用などは必要ありません。

特徴②セキュリティ面の充実

管理方法は分散した参加者の端末に、暗号化した取引データを保存しています。ブロックチェーンの作成にはハッシュ値を使用した特殊なデータを用いており、原理的にデータの改ざんが行えない方法を用いています。共有される取引の詳細もハッシュ関数を用いて暗号化されており、セキュリティも担保されています。

金銭取引の事例

「Mojaloop」ペイメントプラットフォーム

Mojaloopは、ビルゲイツ財団が構築したペイメントプラットフォームです。銀行口座やクレジットカードを持てない発展途上国や貧困層に対し、手数料なしで決済や送金、お金の保管を可能とするために開発されました。

「バークレイズ銀行」国際貿易取引

イギリスの大手銀行であるバークレイズ(Barclays)とイスラエルのスタートアップ企業の「Wave」が提携し、Waveが開発したブロックチェーンプラットフォームと国際銀行間金融通信協会(swift)のシステムを使用して国際取引を行いました。
ブロックチェーンを用いたシステムを用いる事により、従来は多大な時間やコストのかかっていた国際間取引業務を簡略化し、大幅なスピードアップとコストダウンを達成しています。

※国際銀行間金融通信境界(swift)とは、スイスの会社が運用する金融機関向けのクラウドサービス

その他の海外事例

正規品アピール:BABYGHOSTの商品制作過程公開

ファッションブランドの「BABYGHOST」ではブロックチェーンを利用したシステムを用いて、商品製作過程を公開する取り組みを行っています。このサービスでは商品の素材やデザインの成り立ちをユーザーが確認出来るため、商品への理解が深めることが可能。商品やブランドに対する愛着を深められる他、トレーサビリティーの強化により、偽造品対策の効果も得られます。
ブロックチェーンの仕組みを応用すれば、このような消費者に対してマーケティングを行うことも可能です。

慈善事業:BitGive財団による寄付金の透明化

慈善事業への寄付金にもビットコインなどの仮想通貨が適しているとの意見もあります。現在の寄付金は現金やクレジットカードなどを通じて集められていますが、国際的な慈善事業を行う場合、為替や送金の手数料によって寄付金が目減りしてしまいます。ブロックチェーンの特徴をベースにすれば、寄付金の
取引履歴も正確に管理されるため、寄付金・募金など、利用用途の透明性をアピールすることに役立ちます。

流通系:IBMと食品系企業の連携

 

ブロックチェーンが持つ取引台帳としての機能を利用すると、さまざまな商品のトレーサビリティーを高める事が出来ます。IBM手動で行われた食品業界へのブロックチェーン導入プロジェクトにはウォルマート、ドール、ネスレなどの食品関連の大手企業が協力しました。このプロジェクトの目的は、出荷から店頭までの間の食料品の流通経路の記録、産地・品種など食品への信頼性に係わる情報の共有化です。これにより、万が一食中毒などがあれば速やかに原因調査・回収などの対応を速やかに行えます。日本国内でも、製品や食品の回収を呼び掛けることがありますが、ブロックチェーンの技術を活用すればそういった告知をする必要がなくなるのです。また、消費者にとって正確な産地や食材名を把握出来ることは、生産者や販売店舗への信頼につながるでしょう。

ベースをもとにあらゆる業界で活用出来る

ブロックチェーンの仕組みを応用すれば、金銭取引に限らずあらゆる業界で応用する事が出来ます。企業間のB to BやB to C、C to Cでの取引、公共サービスなどもブロックチェーンを用いればスピーディに行えるでしょう。とくに仲介者(サービス主体者)が存在する領域では分散システムでの低コスト、低負荷な特徴を生かした事業展開が期待出来ます。また、情報の提供元が錯綜するメディアのコンテンツやアート系の業界でも知的財産を守る目的での活用が見込まれています。今後も世界中の社会基盤を変えるイノベーションとして活用の場を広げていくでしょう。