2013年にapple社が開発した、情報提供サービスのiBeacon(ビーコン)によってBeacon(ビーコン)技術はより一般的になりました。一体Beaconとは、どういった技術で、どのような形で公共および、商用サービスに使われているのでしょうか。今回はビーコンの機能や導入事例を紹介していきます。

Beaconとは?

Beaconとは「のろし、かがり火」といった意味の英単語で、ある信号を特定の範囲に発信することにより様々な情報を受信させる仕組みのことをいいます。例えば、街中を歩いているとき、端末がBeaconから発せられる「ビーコン信号」を受信すると、プッシュ通知で情報を受信したことを知らせてくれます。Beaconには文字や音声、画像といったデータを発信できるため、サービスによって多彩な使い道が見込まれています。

iBeaconなど現在主流となっているビーコンではBLEという形式が使われています。BLEとBluetooth Low Energyの略で、bluetoothを使用した小電力型のBeaconという意味です。BLE形式のビーコンは何秒かに一回など断続的に信号を発信する形式であり、信号をだしっぱなしにするよりも電池の消費が抑えられ長期間使える、といった特徴があります。

iBeaconより前のBeaconでは高速道路の渋滞などの道路交通情報、雪山での雪崩被害者の位置を知るためなどの目的で使われていました。

GPSとは少し違う?

GPSはよくBeaconと比較されます。ユーザーの立場では、GPSからにせよBeaconからにせよ発信された情報が端末に届く為、一見GPSとBeaconは似ているように思えます。しかし、両者ははっきりと違います。GPSとBeaconの最も大きな違いは、その発信源です。GPSは大気圏外に浮かぶ人工衛星からの情報を受け取りますが、Beaconは建物内や屋外の一地点に置いた発信源からの信号を受信します。この発信源の違いにより、GPSとBeaconのメリットとデメリットが異なってきます。

GPSは、人工衛星からの位置情報を受信できる位置測位システム。地球上の広い地域で情報を受け取ることができます。逆に、電波が遮られる屋内や地下では満足に情報を受け取ることができません。
一方Beaconは発信源の近くであれば、屋内でも地下でも信号を受け取ることができます。その代わり、GPSほど広い地域にわたって信号を受け取ることはできません。

また、端末のbluetooth機能をオフにしている、またはアプリをインストールしていないと信号を受け取れず、Beacon機能が使えなくなってしまいます。

Beacon活用事例

iBeaconの登場をきっかけとして、Beaconを公共および商用サービスに組み込む動きが盛んになっています。実際にBeaconは社会の中でどのような使われ方をしているのでしょうか。事例を見てみましょう。

スーパーマーケットでの取り組み

スーパーマーケットなどの店舗では、割引情報や商品情報を消費者に届けるシステムを採用。お店の入り口から、その日のお得な商品や割引情報を道行く人にBeaconで発信すれば、より多くの来店者が見込めるでしょう。また、お酒の解説や野菜の生産者情報など購買意欲に結びつく情報を店内で発信することによって、売り上げアップが期待できます。変わった使い方では、店内に何カ所かあるBeaconを使って宝探しゲームのようなシステムを作り、子供の興味をひきつけ子連れの家庭を招くこともできます。

ファーストフード店での取り組み

アメリカ合衆国では、マクドナルド店舗を使用して行われたBeacon実証実験では売り上げが上昇した事実が報告されています。この実証実験はiBeaconソリューションプロバイダのPiperによって行われ、iBeaconを利用して4週間の間クーポンが配布されました。その結果、実験実施月の前月に比べてマックチキンの売り上げが8%上昇するという数値が出ました。

【Beacon Labo】http://beaconlabo.com/2015/07/1271/より引用

館内の案内

博物館や美術館でもBeaconを導入する動きが始まっています。例えば株式会社シフトが開発している「館ナビ」というサービスがあります(http://www.kan-navi.com/)。これは館内に設置されたBeaconから発信される情報を受け取ることにより、作品の解説などを端末で見ることができます。また、日本語以外の多言語にも対応できます。イヤホンや専用の再生機器が必要となる音声解説に比べて、より手軽で来館者への金銭的負担が少ないというメリットが期待できそうです。

図書館の書籍管理

図書館でもBeaconの活用が実証試験の段階に入っています。Beaconを活用すれば探している本の位置を大まかに知ることができたり、館外に出た時に返却期限通知を受け取ったりすることができるようになります。実際に2017年6月から12月にかけて高知県立図書館ではビーコンを利用した図書館サービスの実証試験が行われています。

このようにビーコンは使い方によって様々なサービスを、効率的に進めることができます。今後はBeaconを使った、2015年に大流行したゲーム「ポケモンGO」のようなエンターテインメントも出てくるかもしれません。

便利なBeaconの欠点とは?

Beaconのデメリットにはデメリットもあります。Beaconの便利さが、かえってBeaconの利用を遠ざけてしまう事態も指摘されています。どういうことかと言うと、Beaconによる情報発信は発信者にとって手軽であるだけに、情報の送りすぎが心配されています。
例えば先ほど例に挙げたスーパーマーケットのお得商品の情報だと、その日に割引されている商品の情報を全て受け取るとすると、情報量が膨大になって見るのも一苦労になってしまいます。

消費者の立場からすると、買い物中に膨大な店舗情報に目は通せないため、Beaconの宣伝効果も薄くなってしまいます。最悪の場合、煩わしく感じた端末所持者がbluetooth機能をオフにして通信ができないよう設定を変更することも考えられます。

また、1つの店舗での情報量が適切であっても多くの店舗で情報を受け取れば、やはり受け取る情報量が膨大になることが考えられます。Beaconの導入にはまだまだクリアするべき問題があると言えるでしょう。

Beaconで消費者の獲得を

ここまでBeaconのデメリットも述べてきましたが、Beaconを導入すれば消費者及び利用者のさらなる獲得を期待できます。その理由は、Beaconから発信される情報はスマートフォンなどの端末に直接届けられるため、広告やホームページに比べてはるかにアクセスが容易だからです。さらにQRコードのようにユーザーからの働きかけを必要としないため、情報にアクセスするハードルは低くなっています。別のメリットをあげれば、広告費のコスト削減といった面も期待できるでしょう。情報の送り過ぎにさえ気をつければBeaconはとても有益なツールです。
今後の公共及び商用サービスではBeacon端末をいかに使うかが重要な課題となってきそうです。